プロデューサーからのメッセージ
これは団扇でもなく扇子でもありません。風を手動でおくるものです。音の響きがよく心地よい気分になります。
我々がこれを世に送り出すきっかけとなったのは2014年8月15日、終戦記念日にフランスのアビニョンで、なぜか導かれる様に出会ったことから始まりました。
約100年前のツールドフランスの大会時に観客やスポンサー等に配られたノベルティの様なものだったのでしょう。
それは丁度1900年ごろのフランス絵画の印象派に属するマネ、モネ、ドガ、ルノワール、ゴッホ等が「ジャポニズム」に熱狂し日本の浮世絵からインスピレーションを受け様々な日本の文化や手法、生活具等に憧れ彼らの作品の中に表現した時代でもありました。
それらは絵画の世界だけでなくファッションにもジャポニズムブームが深く影響していました。彼らはその時代から日本人が日常に使っている団扇や扇子がどうやら気に入ったようで絵画の中でも様々に描かれています。それが「ベル エポックの時代」と言われるようになりました。そこからの流れなのか、このFANOの原型が存在していたのです。
我々が忘れてはならない毎年8月6日に広島平和記念公園で記念式典が行われます。原爆の子の像には日本中、世界中から千羽鶴が平和の祈りと共に贈られてきます。それらは年間10トンにもなる皆からの大切な折り鶴です。この折り鶴は最終的には何か他のものにリサイクルされ、それらが誰かの役に立ち、幸せな気持ちになるものに蘇えらせるのが理想的なのだと思います。
そして現在、(株)日誠産業が魂のこもった原料をリサイクルすることで繊維や紙等になっており、(株)カミーノがそれらを企画開発、販売を行っています。
そんな素晴らしく意味のある折り鶴から作ったFANOの原型は2014年8月15日フランスから日本へ持ち帰えられ、それらの活躍した美しい時代の風を再びこの千羽鶴の思いと共に2015年日本で蘇らせました。
世の中に存在するもの全ては過去に戻れない。しかしその精神や願い、想いは受け継がれていくものです。
この天からの啓示に感謝し世界の平和を願いをHIROSHIMA 70THにおくります。
2015年 7月 プロデューサー 田辺三千代